近年、名刺はカラーのものが多くなっています。文字だけでなく、写真やイラストが入った名刺も増えています。
そこで今回は、名刺印刷の色に関わる、光の三原色である「RGB」と色の三原色「CMYK」の違いについて紹介します。
1.光の三原色「RGB」
RGB(Red:赤、Green:緑、Blue:青)は、「光の三原色」であり、テレビやパソコンのディスプレイ、近年ではスマートフォンの画面の映像の表示で使われています。
テレビやディスプレイ等では、赤,緑,青の色を発光させて重ね合わせることによって様々な色を表現することができます。
たとえば、緑と青の色を重ね合わせるとシアンに,青と赤の色を重ね合わせるとマゼンタに,赤と緑の色を重ね合わせると黄に,赤緑青全ての色を重ね合わせると白になります。このように、RGBは混ぜれば混ぜるほど色が明るくなり、白色に近づいていくため「加法混合・加法混色」と呼ばれています。
なお、光の三原色のどれも発光していないと黒になります。テレビやディスプレイの電源を切ると黒くなるのはそのためです。
また、原色ひとつにつき0~255まで256段階の濃さを設定できるため、256の3乗の「1677万7216」通りの色を表現する事が出来ます。
2.色の三原色「CMYK」
紙などに印刷する場合は、光の三原色であるRGBではなく、「色の三原色」であるCMYKが使われます。
CMYKは、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)と、キー・プレート(Key plate)から、頭文字1字を取ったものです。
たとえば、家庭用のインクジェットプリンタのカートリッジや企業で利用されているレーザープリンターのトナーもCMYKですよね。
なお、CMYK の「K」は、Blackの「K」と勘違いされていることが多いようです。なかには「KURO」の「K」だと勘違いしている人もいるようです。インジェットのカートリッジに「黒」と表記されていることも原因の一つと考えられますが、「Key plate」の「K」なので気を付けましょう。
光の三原色であるRGBでは、全ての色を重ね合わせると白になりましたが、CMYKでは全ての色を混ぜると黒になります。CMYKは、混ぜれば混ぜるほど色が暗くなり、黒色に近づいていくため「減法混合・減法混色」と呼ばれています。
では、白はどうやって表現するかというと印刷されていない部分が白になります。
また、CMYKは0%~100%の範囲で指定することができますので、理論上は101の4乗となるので「1億406万401」の色を表現可能です。さらに、整数だけでなく小数点以下の値まで指定することができますので、理論上膨大な色を表現することが可能です。しかし、これらはあくまで理論値であり、CMYKカラーのインクを使用して印刷した場合、実際に表現できる色はRGBの色よりも少なくなります。
3.印刷時の注意事項
「印刷したらイメージしていたものと違っていた」という経験はありませんか?
原因は、これまで見てきたように、ディスプレイの表示で使われているRGBと実際に印刷で使用されるCMYKの違いによるものです。
RGBはテレビやディスプレイが発光しているので通常色は明るく見えます。一方、CMYKで印刷した場合、紙は発光しないのでRGBに比べるとくすんで見えてしまいます。
実際にパソコンで画像編集アプリを使用して、RGBをCMYKに変換するとくすんだ色に変化します。
以下、左側のRGBの画像をCMYKに変換したものが右側の画像です。
したがって、印刷する場合はRGB形式のデータよりもCMYK形式のデータを印刷したほうがディスプレイ上の表示と印刷物の色の差異が少なくなります。
ただし、アプリケーションによってはCMYK形式に対応していないものがあります。その代表がマイクロソフト社のオフィス製品です。
たとえば、Power Point(パワーポイント)で作成した資料を印刷すると、画面上では鮮やかだった色がくすんで見えてしまいます。この原因は、マイクロソフト社のオフィス製品の標準の色は彩度が高いため、CMYKではこれらの色を再現することが困難だからです。
マイクロソフト社のオフィス製品で作成した資料を印刷する場合は、彩度が高い色をできるだけ使用しないように注意しましょう。
4.パソコンでCMYKカラーを確認する方法
アドビ社の画像編集アプリの「Photoshop」やイラスト作成アプリの「Illustrator」では、RGBからCMYKに変換する機能があります。
①Photoshop
https://www.adobe.com/jp/products/photoshop.html
メニューから[イメージ]⇒[モード]⇒[CMYK]を選択
②Illustrator
https://www.adobe.com/jp/products/illustrator.html
メニューから[ファイル]⇒[カラーモード]⇒[CMYK]を選択
なお、多少手間はかかりますが、フリーの画像編集アプリケーションである「GIMP」の旧バージョン(v2.8.22)に「Separate+」というプラグインを追加することでRGB形式の画像をCMYK形式に変換することが可能です。
■GIMP 2.8.22
https://www.gimp.org/downloads/oldstable/
その他、RGB形式の画像をCMYK形式に変換するオンラインサービスを提供しているサイトが複数あります。興味があれば検索してみてください。